Visa(V)分析 ~驚異の成長力を見せる企業に向かう敵はあるのか~

こんにちは。

今日は高営業利益率で投資家から人気のVisaについて分析したいと思います。

Visaの事業構造と業界について

Visaとは?

クレジットカードやデビットカードの決済システムを提供している会社です。

Visaカードで知られていますが、自社でカードを発行せず、あくまで決済システムを提供することで利益を上げています。(比較にあがりやすいMasterCardも同じ収益構造です。)

一方で、AmexやJCBは決済システムの提供と自社カード発行もしているため、売上代金の請求・支払いも行っています。

つまり、自らカードを発行するAmexらと違い、Visaは貸し倒れリスクを背負いません。

市場はこの点を高く評価する傾向にあり、実際Visa(44倍)MasterCard(47倍)PERはAmex(16倍)のより高いです。

Visaの事業

大きく分けて以下3つのセグメントで構成されています。

「サービス」:Visaの提供する決済サービスを顧客が利用する際にサポートするビジネス。

Visaブランドの決済ボリュームに応じて、イシュア(カード発行会社)から料金が支払われますが、商品価格が上昇すればその分サービス収入も増えることから、Visaにとっては「構造的なインフレヘッジ」になるのも魅力です。

売上は97億ドルで、前年に比べて+約8.7%と上昇しました

「データ処理」:Visaの持つ決済ネットワークを利用する際に発生する手数料収入など。

購入する商品やサービスをVisaのカードで決済するごとに、店舗側は手数料をカード発行会社に支払い、カード発行会社はそこからVisaに利用料を支払います。

売上は決済の「回数」に応じるため、決済金額にはサービス収入ほど相関しない点が特徴。

売上は103億ドル、前年に比べて約+14.5%と上昇です

「国際送金」:国をまたいで決済するときに発生する手数料収入のこと。

例えば、Visaのカード保有者が出張や旅行などで海外に行った際にカードで決済すると為替手数料がプラスされますが、そこで発生する売上のことを指します。

売上は78億ドル、前年と比べて約+8.2%となっています。

「(その他)」:Visaブランドの使用に対するライセンス料、アカウント所有者サービス料、認定、ライセンス、買収企業に関連する活動などが含まれます。

売上は13億ドルと前年比で約+39%と大きく伸びました

Visa Annual Report 2019より参照

業界

2018年度のAmex, DinersClub/Discover, JCB, MasterCard, UnionPay, Visaのブランドを搭載したカードは約3,690億件あり、2017年から+24.9%増加しました。

Visa44.8%で1位です。(2017年の50.1%より少し減少。)

2位はUnionPay+26.7%と前回の19.9%から大きくシェアを伸ばしています。

中国でクレジットカードと言えばUnionPayを指すようで、巨大な人口数を後ろ盾に一気に決済件数を伸ばしてきていますね。

3位はMasterCard+24.5%となっています。

4位から先は、順にAmex2.2%JCB1.0%DinersClub/Discover0.7%と3社とも前年比よりも下落しました。

参照サイト:The Nelson Report

Visaを取り巻く環境

キャッシュレス決済は成長の余地あり:ポジティブ材料

以下は、各国のキャッシュレス決済比率の状況を示したものです。

キャッシュレス_02

経済産業省『キャッシュレス・ビジョン』より引用

やや古いデータですが、韓国以外の国は高いところでまだ60%ほどなので成長余地ありでしょうか。

ぱっと思いつく競合はApplePayLinePayなどのキャッシュレス決済ですが、実はいずれもVisaなどの決済インフラが使われています。

また、近年盛り上がりを見せるQRコード決済ですが、2017年に発表されたこのプレスリリースの通り、VisaはQRコード決済ソリューションを各国の加盟店や金融機関に展開しており、QRコードによるデジタル決済の成長を後押してきました。

VisaのQRコード決済ソリューションは標準化された仕様であるため、いったん加盟すると国や銀行に関係なく自由に決済を承認できるようになり、個々の取引はVisaによって効率的に処理されるようになっています。

このように、QRコード決済で拡大を図る新興企業も、Visaのような既存の大手決済インフラを避けては市場を通れないと考えています

競合となるのは中国のデジタル通貨?:ネガティブ材料

本当の競合となるのは、既存の決済手段を破壊するような仮想通貨決済の台頭でしょうか。

現在の仮想通貨は完全に投機対象とみなされており、決済手段としての利用は価格変動が安定しない限り難しそうです。Facebookリブラが話題を集めましたが、アメリカを始め各国の金融当局の反発もあり、一旦は発行延期が決定しましたね。

一方、中国では事情が少し違うようです。

中国は政府が2020年にデジタル人民元たるものを発行しようとしています。

このデジタル人民元を利用する際は銀行口座を開設する必要がなく、オフラインで取引を完結できることが特徴です。

また、このデジタル人民元は人民元と1:1で連動するので価格が安定した法定通貨の役割を果たせます

通常の通貨と同様にもちろん支払いや銀行間決済、国際送金などができますが、デジタル人民元のウォレット所有者同士は手数料ゼロで即座に送金・入金できるようにするようです。

また距離が近い人同士だとお互いのスマホを接触させることで送金が可能。これはNFC(Near field communication)によって実現されます。

このように政府主導でデジタル通貨の普及に尽力している中国ですが、中国共産党に資金の流れを監視されることに反発する人たちも多くいそうなのでどこまで浸透できるかは未知数ですね。

Visaの基本データ

Visaの詳細

社名:     VISA

ティッカー:  V

市場:     NYSE

上場日:    2008/3/19

決算期:    9月末

売上高:    22,977百万ドル(約2兆5176億円)

営業利益:   15,371百万ドル(約1兆6821億円)

純利益:    12,367百万ドル(約1兆3522億円)

PER:     44.20倍

PBR:     11.66倍

PSR:     17.05倍

配当利回り:  0.61%

※2020/1/16時点

Visaの株価チャート

Trading Viewより

2008年の上場以降の株価をS&P500と比較してみたところ、優秀なS&P500がかすむほど驚異的な上昇を見せていますね。

しかし、2019年の前半に大量の自社株買いで大きく株価を上昇させた後、7月以降の3ヶ月間は横ばいとなっています。

Visaの財務データ

売上高・営業利益・純利益・営業利益率

右肩上がりで順調に推移しているチャートですね。

上場時の2008年から売上高は4倍に差し迫る勢いで、平均年率13%くらいで成長しています。

2019年直近の営業利益率65%と驚異の数字を誇ります。

世界的なキャッシュレス決済の拡大とともに成長してきたと受け止められることから、今後のさらなるキャッシュレス決済拡大は追い風として成長が継続することが見込まれます。

CF(キャッシュフロー)

基本的に設備投資にほとんどお金がかからないことから営業CFがほぼそのままフリーCFになることが多いですね。

2016年の大幅な投資CFの増加は、VisaがVisa Europeを買収したことが影響しているようです。

Visa Annual Report 2016より参照

営業CFマージン(営業CF/売上)も50%超えとなっているので、投資家が大好物の企業ではないでしょうか

EPS(1株あたりの利益)/ 発行株式数の推移 / ROE(自己資本比率)

EPSは業績の伸びと莫大な自社株買いを反映してきれいな右肩上がりのグラフになっています。

全体的には右肩上がりですね。2012年は純利益の低下により少し下落しています。

※上記の表に自己資本比率と書いてますが、正しくは「自己資本利益率」です。

Visaの株主還元

配当 / 配当性向 / 増配率

2008年の上場以来、連続増配となっています。

増配率20%くらいを維持していますね。

基本的にVisaは株価成長という形で株主に還元しているため、配当利回りは0.61%と高くはありません。

しかし、このペースで増配が続いていくならば、数年後、買ったときの株価で見た利回り(イールド・オン・コスト)で、悪くなさそうですね。

考察

今回はVisaのビジネスモデル収益力将来性をいろんな角度から分析してみました。

決済システムの頂点に君臨するVisaはQRコード決済企業とも協業していて、クレジットカード以外のキャッシュレス決済が浸透していく今後も継続して成長していくことが見込まれます。

つい最近、Plaidというアメリカの未上場スタートアップ企業を約5800億円で買収することを発表し、その巨額買収で世間を驚かせました。

Plaidは「スマートフォン用アプリと銀行口座を連携させる」サービスで、銀行口座を持つアメリカ人の4人に1人が知らない間に利用しているそうです。

Fintechの土台となるPlaidの買収はVisaの今後のFintech業界での中心的立ち位置を創出するとともに、Plaidに集まる具体的データから勢いのあるFintech企業を分析し、新たな事業を展開する際にキーポイントになりそうですね。

巨大な資金力を背景に今後もますますVisaが活躍していくことがうかがえるかと思います。

Bloomberg「VisaによるPlaid買収」参照リンク

しかし、現時点で株価は割安感から遠のいており手を出しづらい状態です。

マーケットの調整が来たときに是非とも購入したい銘柄の一つとしてメモしておきたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございます。

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